私たちは日頃、自己の表現の幅を広げる為に様々なジャンルのショーを観劇している。その中でも、私たちの舞台に大きな影響を与えたシルクドソレイユという団体には特に思い入れが強く、毎年彼らのショーを見る為にラスベガスまで来ているほどだ。
町の中心部のあちらこちらに点在した、7つの専用劇場のなかに、TAOの原点ともいえるショーがあり、10年以上も続いているその人気のショーは、和太鼓の演奏を取り入れ、何度見ても感動させてくれる不思議なパワーを持っている。もう4回は見たが毎回進化していて、一度も同じだった事が無い。そして必ず前回よりも良かったと思わせてくれる。一風堂の河原社長が言っていた、変わらない為に変わり続けるという言葉の意味と共に、その重要性を深く理解することが出来た。
アメリカツアー中の休みを利用して実現した今回のラスベガス研修、なんと私はこのショーに出演させてもらった。出演というのは少し大げさかもしれないが、あのシルクのステージに立ち、世界トップレベルのパフォーマーとコラボレーションをし、大歓声を浴びた…… 。
まぁこんな風に言うと、え!? TAOとシルクが本当に共演したのかしら?と思われるかもしれないが、実はそうではない。シルクのステージではよくお客さんをステージに上げ、ひとつのシーンを作る。いわゆる客いじりと呼ばれるものだ。今回私はその標的となった訳だ。最前列の真ん中に座っていたぐらいだから、何かあるかもと多少期待と覚悟はしていたが、まさか本当にくるとは!完璧に意表をつかれた。背後を襲われたような感じではあったが、せっかくのご指名だ。年間に何百というステージを踏んでいる舞台人の端くれとして、彼らの望むド素人のようなサマを精一杯演じてやろうじゃないか!そう気合いをいれステージに上がったのだが、それはまさに余計な心配であった。私は太鼓がなければ、ただのさわやかなお兄さんである。目線や足下が定まらず、誰が見ても挙動不審なその姿は、はっきり言ってド素人以下であった。正直言ってソロの演奏をするよりも数倍の緊張感があった。結果彼らの思惑通りに事は進み、お客さんには喜んでもらえた訳だが、どうにもすっきりしない。
いつか本当に共演出来る機会があったら、この借りをしっかりと返そうと思う。













