
そう、ここは「TAOの里 GRANDIOSO」である。今日は研修生も含めたメンバー総出で全施設の大掃除を予定していた。
とうとう明日は2011年の大晦日。限りなく白に近い灰色の曇り空から、風に煽られた雪が降りてくる。なかなか積もらない雪は、アスファルトに落ちては一瞬で消えていった。
早々と朝食を済ませ、人肌より熱いお湯をバケツに汲んで、皆が飛ぶように各施設へ散っていく。TAOが住む広大な敷地には、練習場を始めとする7つの施設が建てられている。年々増加していく建造物は、ここの住人にとって楽しみの一つでもあった。
毎年必ず行われている大掃除だが、その手際の良さと仕上がりの美しさは確実に前進している。普段目の届かない棚の上や天井の電球などを徹底的に磨き、日頃あまり時間を割けられなかった目につく壁や床を余すところなく拭き回った。

大掃除開始から数時間もしない間に「改善点」が話題に上る。
事務室の掃除をしながら「もっとこんな物があったら便利なのに・・・。」と瞬時にカタログを開く太郎君と水藤さん。自分達が使う物だから自分達でより良い環境を作っていくのはTAOの伝統的なスタイル。それも、自由に。

このように生活の中で一度起こった不具合を改善するのと、舞台上で出来上がっている楽曲を編曲する事は、形こそ違うが当事者の心情に違いはないと思う。先輩から任された一つの作業を終えて、それだけで良いと思ってしまうほどつまらないものはない。どんなときでも思いついたアイデアは、引き継いだ先輩や側に居る後輩に提案してみるべきだ。そうでなければ単純に時間が通り過ぎていってしまう。学ぶべきものは無限にあるのだから積極的に生きなくては勿体ない!
それもこれも全ては、この本拠地があるからこそできること。
トレーニングも舞台製作も全てこの「TAOの里」があるからこそできること。
静かに僕らを見守り続ける「本拠地」は世界中のどんなホテルよりも居心地の良い「我が家」である。一日がかりで掃除したワガヤは、屋外に出てもゴミ一つ落ちていなかった。

そんなバチ達を、一年分の感謝を込めてサンドペーパーで磨き上げる。この中には研修生の頃から使い続けているバチもあり、それだけは他のものに比べて手に伝わる感触が違っていた。
「来年も色んな楽曲が生まれる、その時は頼むよ!相棒!」 


つい先ほど、数時間前まで同じ空間にこの身を置いていた「THE HOUSE of DANCING WATER」では、美しさや優雅さ、恐ろしさや厳しさといった数えきれないほどある「モノ」を表現する形容詞、その全てが当てはまってしまう完璧なショーだった。
明日の朝には日本へ発ち、研修という名の夢から覚めて自分の居るべき場所へ再び戻る。
《cobaさんとの打ち上げ風景。メンバー全員とかなり熱く語り合いました。》

そして舞台袖に足を運ぶと、僕らの思いを音に変えてくれる楽器達は本番の緊張感から解放されて横たわっていた。
観客はTAOを観に来てくれる訳であって、楽器を見ている訳ではない。しかし、豊富な楽器があって初めてTAOの演奏が成り立つ事は言うまでもない。その彼らにも休息は絶対に必要なことだ。


(タケシ、行ってくるぞ!!!) 